日比谷図書文化館夢二展

【夢二トピックス】
1月9日(月)、日比谷図書文化館の「龍星閣がつないだ夢二の心―「出版屋」から生まれた夢二ブームの原点―」に行きました。展示会場は小ぶりながら、素晴しいレイアウトと夢二画の配置により、一気に夢二の世界に飛び込んでいく雰囲気。龍星閣は千代田区内にある出版社。夢二の没後、一時世間から忘れ去られたこともあったようですが、龍星閣の創業者・澤田伊四郎(さわたいしろう)氏が奮起して夢二の作品を精力的に集め、作品集として世に送り出しました。これが今まだ消えることのない夢二ブームへと繋がっているようです。創設者澤田氏の大きな写真に掲げられたメッセージは「夢二をやる。ブームにしてみせる。みてるがいい」――強烈なメッセージです。この言葉どおり、確かに竹久夢二の名は普及のものとなりました。多方面にわたる夢二の才覚を改めて見出した、ということなのでしょう。
澤田伊四郎氏は、夢二ブームの中興の祖と言ってもいいかもしれません。
展覧会では、夢二の魅力をテーマ別に分けて展示。少ないながら、ひとつひとつの展示物の裏側に膨大な夢二の遺作が思い浮かびます。洋画家岡田三郎助の妻・八千代(小説家・劇作家)へのしみじみとした夢二の書簡の実物もありました。会場で平町 允学芸員と面談し、今月21日(土)の竹久夢二美術館・石川桂子学芸員の講演会への期待が大いに高まりました。

夢二と台湾

大正時代を象徴する存在である竹久夢二。彼は画家のみならず、詩人等としても多くの作品を生み出し、恋と旅を重ねた生涯を送りました。死去する前年の1933年、夢二は2年余の米欧の旅から帰国後すぐ台湾に渡航し、台北で個展を開催しましたが、絵は売れず、帰国船に乗り遅れ、絵等も全て紛失するという不運に見舞われました。これは、この事象をもとに、波乱に満ちた夢二の生き方に関わって行く新たな試みのプロジェクトです。