幻となった?夢二切手

【夢二トピックス】
この切手は、2022年2月に発行されたグリーティング切手「グリーティング(ライフ・花)」の切手。デザインは、大正ロマンを象徴する画家として著名な竹久夢二の作品から、「花図案」が題材になっています。

千代紙、絵封筒、書籍装幀などで展開された「花・植物」モチーフの図案から、所蔵元の了承を得て、 色調整およびトリミングを施し、切手にデザインしています。一部縦長でとてもユニークなものもあります。デザインしたのは日本郵便切手デザイナーの貝淵純子さん。

同年2月6日、東京・目白の切手の博物館で貝淵純子さんのトークショーが開かれ、切手づくりの仕組みや手順、苦労話などたくさんのインサイドストーリーを聴かせていただきました。貝淵さんは長年にわたり数多くの切手制作に携わり、童話、動物、国際文通週間などのシリーズも手掛けられています。なお、夢二切手の制作に専門分野から貢献された竹久夢二美術館石川桂子学芸員も出席されていました。
その竹久夢二美術館でいま開催中の「夢二が描いた 心ときめく花と暮らし」展。花がテーマでこの切手も展示されていますが、なんとこれは担当した徳重美佳学芸員の私物。なかなか見つからなかったそうで、発売するとあっという間に郵便局から消えて行ったという噂はありましたが、ちょっとかわいそうでした。

切手博物館で解説する日本郵便㈱切手デザイナー貝淵純子さん

夢二と台湾

大正時代を象徴する存在である竹久夢二。彼は画家のみならず、詩人等としても多くの作品を生み出し、恋と旅を重ねた生涯を送りました。死去する前年の1933年、夢二は2年余の米欧の旅から帰国後すぐ台湾に渡航し、台北で個展を開催しましたが、絵は売れず、帰国船に乗り遅れ、絵等も全て紛失するという不運に見舞われました。これは、この事象をもとに、波乱に満ちた夢二の生き方に関わって行く新たな試みのプロジェクトです。